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*  放課後、体育倉庫の片隅で私はステップを踏んでいた。3年間、誰にも悟られずに使っていた私の練習場所。  でも、一人黙々と踊る時間ほど虚しいものはないって思う。  諦めるしかない諦めきれない夢は、どんなに努力しても、片隅に転がる空気が抜けたサッカーボールのように弾まないもの。悔しくて、悔しくて、悔しくて、この想い、どうしたら消せるんだろう。  体育倉庫の窓、曇りガラスの先に、どうしても見えてしまう。スキニーパンツを穿いて躍る中学生の自分を。  練習生の一日は語学から始まり、ストレッチと軽い筋トレ、昼休みを挟んで、ボーカルトレーニング、個人レッスン、夕食後には団体レッスンをこなし、合間で先生に指摘された事を忘れないうちにメモしたり修正したりするかなりハードなものだった。  団体レッスンは楽しかったっけ。右斜め前には麻里李がいて、左側にはパルがいて、莉乃(りの)もいた。彼女たちの背中を見ているだけで、いつだって無言の言葉を感じる。負けないよ、仲間だけど私たちライバルだもんね。  ライバル――友達よりも、もっともっと好きな関係性。それを意識する時、身体の底から活力が湧いたんだ。  それなのに、どうして私……。  未だに痛みが走る右足は、もちろん答えてはくれなくて――。  話し声が聞こえた。  体育倉庫の扉の外。地面に弾ませたボールの音が近付いてくる。
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