空蝉
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「こんなもんでいいだろう」 高木が言ったので、俺はシャベルを動かす手を止めた。軍手の甲で浮かんでもいない汗を拭う。 高木が足を、俺が肩を持って、死体を運ぶ。穴は深い。野生動物に掘り返されないためだと高木は言った。だから半ば放り捨てるように、俺たちは死体を穴の底に降ろした。 バサリ、と。 ブルーシートの端が捲れた。 目が合った。 高木だった。 頭から血を流して横たわる、高木がそこにいた。
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