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僅かばかりの浮遊感を覚えている。その名残が腹の中を掻き混ぜていた。体は手足の感覚を失っていて、頭は金槌で叩かれたようにぐわんぐわんと揺れていた。
胸が苦しい。喘ぐように息を吸っているうちに、何が起きたのかを理解していった。
俺たちは埋もれていた。車ごと生き埋めになっていた。感じるのは酔いそうなほどの土の匂い。全身を呑み込んだ轟音は既に遠くへ消えていて、辺りには静寂が腰を下ろしていた。
その静寂の中、時折ひゅうひゅうと掠れた音が足下を通り過ぎていった。
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