かのこ

4/5
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
耀司と付き合った当時の鹿乃子は仕事をしていなかった。 強迫性障害が酷く事故が不安な上に、薬で頻繁に眠くなる鹿乃子は車を運転出来ない。 そうしたら鹿乃子の地元で徒歩や自転車、1日に数本のバスで出来る仕事など、ほぼ無いのだ。 しかし、耀司は鹿乃子と違う県に住んでいるから、耀司に会うには仕事をしなければならなかったし、するように耀司に言われたので、 とりあえず地元のニット会社に就職する。 しかし、耀司から出た声は、「なんで土日休み?俺、平日休みやん?」 鹿乃子は言葉が出なかった。 鹿乃子と耀司の力関係はここで決まったのかもしれない。 しかし、「男の人に逆らってはいけない」と心に、幼少期から刻まれている鹿乃子は言い返すことすら知らなかったのだ。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!