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春のはじまり
わたしも幸せになれるんだ。
耀司といたら大丈夫。やっとあの怖くて寒い場所から逃げられる。
パパともママともオサラバだ!
嬉しい!嬉しい!
わたしは、夜行バスに揺られながらこれから始まる毎日を夢見ていた。
ずっと好きだった個性派な古着ファッションから耀司が好きなおねえさん系ファッションになって、茶色く巻いた髪、ディオールの香水、わたし、きっと生まれ変わるの!
当時のわたしは痩せていた。
167cmで50kg前後、だけど胸はFカップあって、正直スタイルは悪くなかった。
だから耀司の好きな、没個性的な流行りのファッションだって違和感がなかったし、
ずっと個性派で来たからコスプレみたいで楽しかったのだ。
でも、かなり痩せていた事からか身体にはトラブルが起きやすかった。
あれ、、?お腹痛い。。
あ、、、生理?
ロキソニンあったかな、、
初日だからかなり痛むだろうな、引越し早々嫌だな。
重い生理に貧血も起こしやすくて体力はずっとなかった。
キャリーバッグにはお気に入りのお洋服やすぐ使うものだけ詰めてある。
それでもそれなりに重たいからずっと持っているのが辛いのは想像に容易いし、
夜行バスのむんとした暑さが気持ち悪かった。
わたしは吐きそうな気持ち悪さや腹痛に自分の運の無さを痛感していた。
次のサービスエリアで飲み物と、、カイロあるかな、、暑いけどお腹はあっためないと痛み増すし、、3月だしな、、。
、、、生理か。できないと耀司怒るかな。。
不安が頭によぎる。
前述のようなわたしを耀司は自慢げにしていた。
今はマスカラすら軽いけど、当時はギャルまでいかなくてもばちばちなメイクに大きなカラコン、痩せてるけど胸はあって、、
つまり耀司の好みの女の子だった。
だから当然毎回体を求められた。
別れる寸前は黒髪でナチュラルメイクに身体も太っていたけど、それでも太ってからHカップになった胸や柔らかい身体を絶賛して、体を求めてきたくらいだったから、欲求が強いだけかもだけど。
でも、会う=求められる だった。
できないと知れたらどうしよう。
不安がさらに腹痛を増した。
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