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なんとか、Googleマップ片手に不動産屋に鍵を貰い、またGoogleマップを見ながら新居にたどり着いた。
わたしは腹痛で吐きそうだった。
ガチャ。
何もない9畳ちょっとのワンルーム。
駅まで徒歩10分、築浅の2階角部屋。
家賃は共益費込み73000円。
22万円程ある予定のお給料のほぼ三分の一だった。
でも、このアクセスの良さも綺麗さも全てが間違いだったかも知れない。
キャリーバッグしかない部屋にわたしはへたり込んで、持っていたお茶でロキソニンを流し込む。
住んでいた実家の周りと大違い。
駅は近いし、コンビニも家からすぐだし、周りは美容室やカフェだらけ。
都会に来たなぁ。
耀司!連絡しなきゃ!
スマホを手に取り、
「無事着いたよ〜♡ 耀司何時になる?」
部屋の画像と共にメッセージを送る。
「おつかれ!今起きたからもうちょい。IKEA行こか!」
「うん!楽しみ(^^)」
スマホの時計はお昼を過ぎていたから鹿乃子は一度マンションから出て家からすぐのコンビニへ行く。
「サンリオ1番くじ」なんて文字が見えたけど、節約!今日は家具を買うからだ。
食欲はなかったけど、サラダとヨーグルトとお茶を買ってコンビニから出る。
食べ終えて、暇すぎて自撮りなんかして、15時近くに耀司がやってきた。
ピンポーン。
「あ、俺。開けてくれる?」
ガチャガチャ、、
「いやぁ、迷ったわ〜」
「おつかれさま!ありがとう〜来てくれて!」
「鹿乃子もおつかれ!引越しおめでとう!」
「ありがとう!」
「IKEA行くなら早よせんとやな、、出よか!」
「うん!」
ほら、会っていたら耀司は優しいんだ。
大丈夫。これから幸せな毎日が送れる。
そう思いながら耀司の車の助手席で鹿乃子は胸躍らせるのだった。
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