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静けさの中で
早朝、誰しもが眠っている時間。
昨夜の暗躍の跡を自分が仕える主にバレぬように、丁寧にひとつずつ朝靄の中に溶かす。
「……そろそろお嬢様がお目覚めになられる時間でしょうか」
ふんわりとしたクラシカルタイプであろうメイド服のスカートを翻しながら、屋敷に向かう。
何処にも戻れる場所のない私と行く末が破滅しか残っていないお嬢様。
静けさの中、朝靄に包まれた屋敷への道を踏みしめながら、現状の打破に思考を巡らす。
「今日という日が破滅を迎えるきっかけになりませぬように……」
自分や主、そして周りの人々の行く末に不幸が無いことを祈りながら闇が似合う彼女は今日を迎える始まりの音を聞き、仕事を始めた。
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