記憶に残る告白

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「ここでいいか」 公園のベンチに座る。子供の頃、夢中で楽しんでいた遊具は今は小さく見える。夕方になり子供達は帰ったのか人の気配はない。 「はい。日向の分」 「え、あ、お金払う」 自分の分だと思わなかった俺は、今更財布を取り出そうとした。 「要らない。俺が日向に食べて貰いたかっただけだから。好きでしょ、こういうの?」 首を傾げて様子を窺う様子が様になっていて心臓が大きくなった。 「あ〜ありがとう」 昨日食べたとは言えず目を逸らしながらお礼を言う。一口食べると変わらず可も不可もない味だった。 「ハズレかなぁ、新商品って美味しくないのもあるよね」 「楽しいから、別にいいよ。美味しいのも結構あるし」 「日向は相変わらず新製品好きだよね」   俺の顔を覗き込むように話してくるのがドキドキして仕方がなくて、黙って肉まんを頬張った。ピリ辛も何度も食べると刺激で舌が痺れてくる。 「横についてるよ」 辰巳の指が頬に当たり、俺の口元についていた生地を掻っ攫って、彼の口へと入った。 「な……な……何してんの?」 「付いてたから」 「食べんなよ。言ってくれたらいいだろ!」 「とった方が早いでしょ」 不思議そうに眉を顰めている。可愛い、けどかっこいい。美形の暴力に一瞬言葉を失った。 「辰巳はこういうことするからモテるんだろうな。気をつけろよ、本当に」 変に期待して粉砕する人間がきっと俺以外にもいるはずだ。 「何それ何の話?」 自分がモテてることに気づかないのか爽やかな笑顔を向けてくる。 「誰彼構わず優しくするなって話だよ」 辰巳の笑顔は一瞬強張り、真面目な目になった、 「ちゃんと人は選んでるよ。誰にでも優しく何てできない。好きで大切な人にしかしてない」 「……恋人にってこと?彼女いるの?」 「気になる?」 楽しそうにいたずらっ子のような笑みを浮かべている。 「いや……別に」  うわ、これは誰かと付き合っていそう……。どうせ俺は土俵に上がれないのだからと目を背けていたが、彼女がいることにショックを受ける。心臓の動悸が必要以上に聞こえる。食べ終わった肉まんの紙をクシャっと握りしめた。 「どんな風に告ったの?」 動揺した俺はつい口を滑らせて要らないことを訊いてしまった。
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