記憶に残る告白

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「誰に告白するの?」 低い声が聞こえ、気温が数度下がったような気がして、マフラーを顔に近づけた。日が翳り気温が低くなってきたのだろう。 「秘密。教えろよ、なんかいい方法」 参考にしてお前に告白するから。そんな思いで辰巳に尋ねる。彼は顔を伏せて考えているようだ。 「自分で紐で縛って『俺を食べて』って言ってみたら?」 「変態じゃねぇか」 「メイド服を着てみるとか」 「告白する前に捕まりそうなんだけど」 「じゃあバニーで」 「もっと危ないわ。真面目に考えろよ!」 大喜利をしてもらいたくて訊いたのではない。真面目な顔してるのに冗談を言うなんて器用な奴だ。気が抜けた。 「記憶にも犯罪歴にも残りそうなのはやめてくれ」 「まぁ俺も日向のそんな姿を誰かに見てほしくはないね」 俺も罰ゲームみたいなことしたくないから……。つい頭を抱えたくなった。 「記憶に残る告白か、難しいね」 分かる。アバウトに記憶に残りたいと思いながら俺も何も思い浮かばなかった。その答えを本人に押し付けようとしたことにほんの少しだけ申し訳なさを感じる。 「辰巳はどう告白するの」 「俺?」 「そう、辰巳は好きな人にどんな告白するのかと思って」  辰巳ほどだと、どれだけ地味な告白をしようともOKを貰えそうだ。今まで恋愛について話したことはないが興味はあった。放課後呼び出すのか、日常の中でサラッと告げるのか。どちらにしても俺はキュンキュンするだろう。俺にときめきを分けてくれ。 「俺はね」 辰巳は色気のある笑みを浮かべて俺の手を取った。顔が近づく。辰巳の目に俺が映りそうだ。 「抱きしめて、キスをして『愛してる』って耳元で囁きたい。ドロドロに甘やかして俺だけに依存させたい。どこぞの教師にも同級生の異性、いや性別問わず誰にも触れさせない」 手を強く握られ、俺は辰巳に釘付けになった。 「どう?この告白ドキドキする?」 急にちゃめっ気を含めて質問されて我に帰る。
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