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男は背を向けていて、私には気づいていない。
夢中で掘っているようだ。
刑事ドラマが好きな私は「死体でも埋めているのか」とも思ったが、男のまわりにはそのようなものは見当たらない。
しばらく隠れて見ていたが、男の穴掘りは順調に進んでいるとは言えなかった。
山の土は一般の人が思うよりはずっと硬い。
おまけに振っている男は、背も低くく痩せていて、服の上から見るその身体に多くの筋肉が備わっているようにも見えない。
私が見ている間、穴掘りはほとんど進まなかった。
――なんでこんなところに穴を掘っているんだろうか。
そう思いながらも、私は静かにその場を後にした。
しばらくして、また山菜を取りに山に入った。
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