山を掘る男

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私は大きな音をたてないことだけに気をつけて、その場を離れた。 いつものように少し間を開けて、山に入る。 山菜取りだ。 いつものルート、そして穴掘りの音が聞こえてきたところを通る。 しかし今日は、穴掘りの音は全く聞こえてこなかった。 男が穴を掘っていた場所に行くと、男の姿はなく、穴もなくなっていた。 男が近くにいないことを確かめて、穴のあった場所に近づく。 畳一畳よりも少しだけ大きな長方形が、そこにあった。 土の色、触った感触。 ここは男が掘っていた穴であり、それが今は完全に埋められているのだ。
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