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――あいつ、いったいなにを埋めたんだ。
穴を掘って、その穴をただ埋めるだけの人間はいない。
そうなれば、ここになにかを埋めたと考えるのが自然だ。
死体ではないとは思うが、死体でなければなんだかの不法投棄か。
掘ってみることも考えたが、穴の深さがそれなりにあるのは知っているし、持っている物と言えば、山菜取り用の小さなスコップ一つだ。
これではいくら何でも効率が悪すぎる。
それにもしこの穴になんだかの事件性があるのだとしたら、素人が勝手に掘っていいものではないだろう。
しばらく考えたが、これと言って思い浮かばず、わたしはそのまま山菜取りにと足を進めた。
少しもやもやした日々が続く。
あの男はなんなのか。
あの穴にはいったいなにが埋められていると言うのか。
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