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出発
一日目 昼
[でこぼこした岩道ってさ
なんか歩くと楽しいね。
「若い時はそう思ってた方が楽だな
歳を取れば感じなくなるぞ」
「フリズはロマンないよな!」
「生きることに夢も浪漫もありはしない。」
[さっきの川渡ったときも、
素手で魚が取れると思うなよとか…
確かにそうだったけど
言われてちょっとショックだったんだよ。
「どうした?歩く歩幅が短いぞ、楽しいというのは嘘だったか?]
「い…いや!そんなことない!]
「顔が現実と戦ってるぞ、凍った水たまりと何にらめっこしてるんだ?]
[…わかったよ、]
[まぁたまたま雪だの
氷だのがついた冷たい
木々の中に洞窟があったから
野宿できたけど
次もそうだとは思うなよ。]
[…お腹ゆるくなってきたな…風邪かな?]
「お前まさか、生焼けのとこ食ったろ?腹壊したな!?…めんどくせぇ…」
[ごめん、帰ろうか…]
[ここでそうだなと言うか?
[え?]
[ここには胃薬もなければ休む場所もない。…となればいったんここで胃を落ち着かせるしかないな…]
[どうやって?]
[まずはなここで火を起こして…
「く…苦しい」
「少しまってろ…」
…次に水をろ過して温めて
「……」
「大丈夫だ、治るから」
…このお湯に薬草を煎じて…と]
「もう夕方じゃないか、今日はここで野宿だな、もう崩すなよ」
[うなずくことしかできないよ…もう…]
[まぁそういうと思った。しかし、今日は野宿だ、次の朝かえるぞ。]
一日目 夜
[たかが、体調崩しただけでくじけすぎだ
それじゃサバイバルどころか生きるのも大変だぞ?]
「やっぱり向いてないのかな…フリズみたいに強くなりたいのに…」
「…強くなるという理由でしょうもないサバイバルで試してたのか?…」
「…うん」
「こんなところで道徳じみた説教はいやなんだが?」
「ごめんなさい…」
「親の道たどれば同じになれるのは大間違いだ、そもそもあんたは体がよわい、母親ゆずりのものだ、それで俺の道を簡単に行こうと思ったら困る、」
[…でも!僕はみんなを見返したいんだ!
何もないからって見下されたり、笑われたり無視されたりされるのがいやなんだ!…]
[…くだらん]
「フリズは強いからそんなの気にしなくてずるいよ…」
「強いもなんもお前には人にない優しさがあるじゃないか?いつもいってるのに忘れてるのか?」
「優しさなんて…約にたたないよ…」
「お前の優しさは歌や物語、人の考える優しさなんかより遥かに上回る」
「僕のどこが…」
「じゃあなんで出発する前のあの日
治安悪い下町で盗難起こした小僧がいたよな?あいつをなんでかばった?」
「…」
「しかも自分のお金をだして買ってあげたことにまでして…そんなことしなかったらあいつはもう終わってたろうな」
「それに毒になったときの血清の為にウサギを殺そうと俺がしたとき、お前俺を止めたよな、お陰で無駄な浪費したんだぞ、]
[…それは、可哀想だもん!ウサギなんて殺せないよ!]
[その優しさが甘いんだ、サバイバルではな。もっと他のことにつかえ。]
[…うん]
[さぁ帰りたいならさっさと寝な。]
「おやすみ…フリズ」
二日目深夜
………[…?]
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