猫の耳に溜め愚痴

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                 3 初めてハルに会った日から私は下校中にあの神社に行くのが日課になった。 神社に行くとハルは石段の下でちょこんと座っている。なんか、私のことを待っているみたいに。 私はたまに煮干しを持ってきたりしてハルにあげたりしている。その代わりと言ったらあれだけど私はハルにその日の出来事や愚痴などを話している。 今日もいつものように私はハルに愚痴を話していた。 「ハル、聞いてよー。私って今高3で受験生なんだよ。それで、クラスメイトのほとんどが大学行くらしいんだけど受験ってめっちゃ大変で朝から晩まで勉強漬けなの。」 そこまで話した私はガックリと頭を下げた。 「それなのに最近カップルが増えてるんだよ!?私が一回も告られたことのない超運ない哀れな女子高生ってのを知らないで『ねえねえ!最近私コクられちゃってさー。しかも憧れの先輩で!!』とか言ってくるやつがいるんだよ!!本当なんなの!?」 イライラしたら溢れんばかりの言葉が次々に口から出た。 「し・か・も!みんなとある場所でお願いしたらコクられたって言うんだけど、そこがどこだと思う?」 私は後ろに建っている神社を指差した。 「そう、まさかのここ!!あ〜私は何回お願いしても叶わないのに何でお願い歴たかが数週間のやつらが告られるのよ!?」 この神社で誰よりも願った回数が多い人は私だと自分でも思ってしまうほどお願いしてるのに。 「やっぱ神様は平等じゃないね。」 ため息混じりにそう呟くと私はハルを見た。 黄色い瞳がこっちを不思議そうに見ていた。 「ごめんごめん。また喚いちゃったね。」 苦笑いを浮かべながら私は春の頭を撫でる。 「はぁ、それじゃあ私そろそろ帰るね。」 そう言って私は手をヒラヒラ振ると春に背を向けた。 その瞬間、私の手を誰かが掴んだ。 「え!?」
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