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画面を戻して下にスクロールすれば、幾つかのリストが並んでいる。
一つをアップしてみる。強盗の文字が大きく書かれ、その下に対象を選択する項目があった。防犯カメラの映像や直接撮った写真に動画をアップ出来る仕組みになっている他、住所や市民名から検索もできる。
鼓動が大きくなる中、フェイは適当に住所を選んで検索すると対象の家族構成がリストアップされる。
個人情報が数字として表示されていた。年齢や身長、それに年収に所有資金まで。
頭がくらくらした。熱に浮かされるみたいに考えがまとまらず、フェイはページを進めていった。
犯罪予定時間を選択する画面になると、人通りの少ない時間帯がオススメに現れた。それを無視すると注意勧告が出る。
必要な人材と道具が増えるので消費ポイントが増えるといった勧告だ。
フェイは一度戻ってオススメ通りに選択すると、必要な装備がピックアップされた。それは顔を隠す道具、武器、そして必要な消毒部隊の人数。
「そこまで行ったら、あと少しだな」
土掘りの声が遠い。
顔を上げたフェイに彼は補足した。
「犯罪には自前の装備は使用できない決まりがある。服装も武器も、全てそのアプリで購入、レンタルした物を使うルールだ。犯行実行前に自分の姿を撮影し、許可が下りた所で犯罪を開始できる」
動揺を隠しきれず、フェイは画面に目を落とすと慌てて全ての準備を無効化した。土掘りがあくまでこれはサンプル画面であり、実際に許可は下りないと補足したがいい気はしない。
弾の入った拳銃の引き鉄に指をかけた気分だった。
他のページも見てみる。保険金詐欺の項目もあり、利用可能な詐欺と怪我の診断書のメニューがあった。実行可能回数も表示されている。
「同じ犯罪を何回もするのは無理だからな。何度も同じ怪我をするのは不自然が過ぎる。それに、同じ家から何度も強盗するのも無理だ。その場合は実行不可能の案内が出て、他のオススメが候補に出てくる」
身分詐称や傷害に誘拐の項目まであった。
そして、殺人。
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