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動揺は鼓動と共に大きくなっていく。震える指で他の項目を見れば、助人の表示があった。
「我々が抱えているプロの人材だ。消毒部隊も含まれている。例えば家宅侵入したいとき、鍵開けのプロを派遣することもできる。誰かを誘拐したいとき、実行しやすいように元軍人を派遣することもある。そのページには、そういった人材紹介が載っている」
「馬鹿な」
フェイは声を震わし、土掘りに顔を向けた。
「人を殺したり、誘拐していい? こんなアプリを入手したら?」
「正確には我々が選んだ人物がそのシステムに加入できる。お前が今日戦ったヤクザ共がそうだ。ヤクザと言っても解体直前の弱小で、お前が今日倒したのでほぼ全員だがな」
彼らの装備も、基本免罪符システムから手に入れたものだと言う。フェイを追いつめた拳銃もそうだ。普段は専用のケースに入れ、犯罪許可証が下りた所で指紋と盲目による照合を完了すれば、もれなく使用可能になる。
使用後は必ずケースに戻す必要があり、指示に従わない場合消毒部隊が確認に行くらしい。最悪武力制圧の対象になるとのこと。
契約人数が多い場合は必ず監視要員がつくらしく、雉沼がそれだった。
土掘りは冷徹ともいえる態度で続ける。
「他にもお前を迎えに行かせた起尾がそうだ。奴の装備も、このサービスで購入した代物だ。仮にあいつが銃刀法違反で逮捕されても、即座に事情を把握している消毒部隊が参入し、起訴までにはいかない。多少のペナルティが課されはするがな。
更に複数、我々が選んだ免罪符所有者が積穏町には存在する。彼らが申請を行い、頼んできた犯罪を補助し、公にならないようにする、それが免罪符システムだ」
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