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185cmの大男がムンクの叫びのような顔をしている。
「蒼介、お前まさか瞳子ちゃんに!
離れろ、早まるな。今日が命日になるぞっ」
「藤崎先輩、酷い。爆弾みたいに」
佐川くんにも笑われた。
「いやもうほんと、とーこちゃんには危険物の札貼りたい」
藤崎先輩は兄貴の親友で、うちの道場にも来ていた。「とーこちゃん」と変わらず呼ばれるのが好きだった。もう一人の兄のような存在だ。
中学からの付き合いの彼女がいるので私と話せる数少ない異性だ。
「蒼介、お前口説いたり...」
「違いますよ。ちょっと質問しただけ。ね?」
頷く。
『違いますよ』
か。そりゃそうなんだけどさ。一点の曇りもなく。
「藤崎先輩はどうしてここに?」
佐川くんが眼鏡を押し上げながら聞く。
その仕草に見蕩れる。
「ああ、蒼介、剣道やれ」
「嫌です」
ばっさり断られた。
藤崎先輩は、しばらく顎に手をやって
「短期間で良いんだ。
次の試合までの間、助っ人してくれ。
そうじゃなきゃ、とーこちゃんと密会してたこと、剣にバラす。」
佐川くんが、唸った。
兄の名前はそこまで威力があるのか。
【安曇 剣(あずみつるぎ)】
職業、剣士
属性、シスコン
武器、竹刀(時々真剣)
敵、 妹に近寄る男
やだな、コレ。
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