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「ありますよ」
涼やかな声に、二人してビクッとなる。
噂の本人だ。
「蒼介?聞いてた?」
恐る恐る聞くと、
「俺の事気に入らないんですよね?勝負しましょう。一試合ごとに俺が勝ったら、条件呑んでもらいます。もちろん、俺初心者なんでハンデ貰いますけど」
ニッコリと、女が見たら魅了されそうな笑顔を浮かべている。
「ふん、何様のつもりか知らんが、俺が勝つのが当然。なんのメリットもない勝負を受けると思うか」
「『お兄ちゃんてやっぱり強くて一番カッコイイ』とか?『同級生の男はガキよね』とか?良いと思うんだけどなー。俺が見たところ、アンタの愛し方には戦略が無い」
蒼介、昔から黒かったが更にパワーアップしてやがる。
特に煽りスキルが。
瞳子ちゃんが絡むと剣は熱くなる。
「やってやろうじゃねえか」
ほら。
断らないと思った。
地の底からのような声なのに、熱くなっているのがわかる。
蒼介は、ニヤリと笑った。
あ、剣負けるかも。
策もなくケンカ売るやつじゃないんだよな、こいつ。
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