私と彼女

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私と彼女

 私たちは仲が良い。  ただ、互いのことはさほど知らない。  彼女はある夜、打ち明けてきた。  一言、「辛い」と。 「眠れてる?」 「ううん……。  眠りたいし、  眠いけど、  なんか、  考えなきゃいけない事がたくさんある気がして、  眠れない。」  私はソファーの彼女の隣に座り直して、彼女ごと毛布を被った。 「眠ろ。  眠りが解決してくれる事も多いから。  起きた時に残ってた問題だけ、  あらためて考えよ。」 「……うん。」  私たちは寄り添って眠った。  翌朝、彼女のほうが先に起きていた。  私が身を起こすと、眩しい窓辺からふり向いて笑った。 「おはよう。  なんか、物思いが過ぎてたみたい。  頭すっきりした。  なんとかなりそう。  真鶴(まな)に言ってよかった。  ありがとう。」 「うん、そっか。  じゃあ、なんか食べよ。」 「うん。」  私たちは、互いのことをさほど知らない。  だけど、仲が良いとよく言われる。  
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