水曜日・夜

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水曜日・夜

 体育の時間の自分の行いについてひとしきり反省してから。  僕は、六畳の自室を何百週もぐるぐるしながら、ひたすら考えた。    三澄さんが告白してくれるとすれば、もう後二日しかない。  告白宣言を受け取った時から浮かれっぱなしだった僕。だけど、あの手紙を読む限り、もう一つ最悪の結末だってあり得るんだ。  そう、二文目に書かれていたバッド・エンド。 【もし期間内に告白ができなければ、あなたのことは諦めます】  明日までに告白がもらえなければ、僕が三澄さんの恋人になることは叶わなくなる。  それだけは絶対に嫌だ。  だけど、どうすれば。  いくら頭を働かせても、三澄さんの考えていることが僕にはわからない。  三澄さんのことが、僕には、何も。  ——三澄さんのこと。  そうだ。  僕はもっと、三澄さんのことを知らなければいけない。  本棚から一冊の小さな本を取り出す。三澄さんが貸してくれた数学の読み物だ。タイトルは、『ゼロからわかる! パラドックス入門』。  途中で難しくて読むのを中断してしまったけれど、もう一度挑戦してみよう。  三澄さんの大好きな数学のことを知れば、何かヒントが得られるかも。  学校の勉強とは比べ物にならないほどの集中力を発揮して、僕は一ページ一ページを熟読した。  やがてとあるページにたどり着き、僕は思い知らされる。  ——月曜からの自分の努力は、全て無駄だったということを。
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