35人が本棚に入れています
本棚に追加
水曜日・夜
体育の時間の自分の行いについてひとしきり反省してから。
僕は、六畳の自室を何百週もぐるぐるしながら、ひたすら考えた。
三澄さんが告白してくれるとすれば、もう後二日しかない。
告白宣言を受け取った時から浮かれっぱなしだった僕。だけど、あの手紙を読む限り、もう一つ最悪の結末だってあり得るんだ。
そう、二文目に書かれていたバッド・エンド。
【もし期間内に告白ができなければ、あなたのことは諦めます】
明日までに告白がもらえなければ、僕が三澄さんの恋人になることは叶わなくなる。
それだけは絶対に嫌だ。
だけど、どうすれば。
いくら頭を働かせても、三澄さんの考えていることが僕にはわからない。
三澄さんのことが、僕には、何も。
——三澄さんのこと。
そうだ。
僕はもっと、三澄さんのことを知らなければいけない。
本棚から一冊の小さな本を取り出す。三澄さんが貸してくれた数学の読み物だ。タイトルは、『ゼロからわかる! パラドックス入門』。
途中で難しくて読むのを中断してしまったけれど、もう一度挑戦してみよう。
三澄さんの大好きな数学のことを知れば、何かヒントが得られるかも。
学校の勉強とは比べ物にならないほどの集中力を発揮して、僕は一ページ一ページを熟読した。
やがてとあるページにたどり着き、僕は思い知らされる。
——月曜からの自分の努力は、全て無駄だったということを。
最初のコメントを投稿しよう!