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(うーん……、やっぱりどうにかしないとなあ)
こんな仕事量過多の生活を続けていたら、彼女の体がもたないだろう。それに俺の方も、至れり尽くせりの毎日に慣れてしまい、何もできない駄目人間になってしまいそうなのが恐ろしい。
(よし、やっぱりちゃんと話し合いをしよう)
無言で手を出しても、有言で手を出してもうまくいかなかったが、それは俺の気持ちが正しく伝わっていなかったからかもしれない。きちんと時間をとって家族会議を申し込み、お互い納得がいくまで話をしてみよう。
そう決意を固めて、楓花さんの帰りをじりじりと待った。
しかし、なかなかその機会が見つけられなかった。俺と競うように帰ってきた楓花さんが鬼気迫る勢いで作った料理は、今日も一人で食べることになった。当の彼女は、なぜかずっと作り置き用の料理をしているのだ。
俺が食事を終えても、テーブルに近寄ってくる気配はない。仕方なく、キッチンカウンター越しに口を開いた。
「すみません。あの、話があるんですが……」
「すみません。忙しいので手短にお願いします」
機械的な対応に早くも心が折れそうだ。だが、ここでくじけるわけにはいかない。
俺は何とか心を奮い立たせ、わざとらしく咳払いをしてから続けた。
「考えたんですが、やっぱり家事は分担制にしませんか?」
「…………え?」
楓花さんがすうっと色を失った。
「……理由を聞かせていただけますか? 私に何か落ち度でも? 気に食わないところがありましたか? そうであればその都度言っていただければ直しますし――、いえ、むしろ今言ってください! 私の作った料理、お口に合いませんでしたか? あ、皿洗いの仕方ですか!? それともお風呂の温度がぬるいとか!?」
「ちょ、ちょっと待ってください! そういうことじゃないですから!」
カウンターを回り込んできて早口でまくしたてる彼女を慌てて押しとどめる。
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