プロローグ

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夜となく昼となく見る夢… これは俺への罰だ。 世界中で何よりも誰よりも大切に想っていた、愛する彼女を裏切り… 傷付けてしまった俺への罰。 目を閉じると笑顔の彼女。 弾けるような… まるでヒマワリみたいな明るい笑顔で いつも俺に笑いかけてくれた大好きな笑顔。 小さな頃から何も変わらない彼女に、そう言うとちょっぴり頬を膨らませるのが愛しかった。 そんな… 幸せだった二人の世界から彼女が消えた。 取り返しのつかないことをしたのは自分。 弱くて臆病で… 何も持っていないただのガキで 苦労も挫折も知らない、ただ上辺だけ大人になったつもりの未熟な人間だった。 今ならわかる。 カッコつけずに彼女に話せば良かったんだ。 例え別れることになっても... 二人で何度でも話し合っていたら あんな風に彼女を傷つけることはなかった。 あの時、近くにいたら… あの距離がなかったら… もしかしたら… 全てを乗り越えて 今でも、俺の隣にいたかも知れないのに。 なんて… バカなことばかり考える自分に嫌気がさす。 俺よりもずっと大人で 沢山の苦しみや悲しみを乗り越えてきた彼女。 でも、だからこそ言えなかった。 彼女のそばにいることができないから 一人で解決しようとして 知らなかった真実に打ちのめされて… 彼女を守るつもりが死ぬほど苦しめてしまった。 夢の中でだけ、笑顔の彼女に逢える。 そして最後は... あの日初めて見た彼女の歪んだ泣き顔。 俺の手を振り払い去って行くキミに 〝里桜っ!!〟 と叫び、手を伸ばして目が覚める。 その手の遠い遠い先は(まばゆ)い光だったーー。
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