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1日目
「なんっ……にもないな……。」
海岸近くの砂地に上陸したショウたちは、まるでこの世の果てのようなあまりに寂しい光景に思わずため息を吐いた。
太陽が小さすぎるためか辺りは夕暮れのように薄暗く、分厚い宇宙服を着ていてさえ身震いしそうなほど寒い。
海辺にも陸地にも、魚や小動物どころか草木すら見当たらず、真っ暗な海がただただ静かにさざめいている。
あるのは、恐ろしいほどの静寂。
「……ま、まあ、気を取り直してだな」と、バトラーが頭を掻き、強い声で続ける。
「生物がいないならいないで、移住には好都合だ。サンプルを採取して持ち帰るぞっ!オレは船の周辺を探索する。ハリーは海岸左手、ショウは海岸右手の探査、リーズは丘の向こうを見てきてくれ。何がいるか分からんから気をつけろよ!」
「イエス・サー!」
てきぱきと指示を下すバトラー船長に、ショウたちクルーは揃って敬礼を返した。
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