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2日目
夜明け前──ショウが前日の海岸に着いた頃には彼女は既にその場所にいて、ショウの姿を認めると、大きく手招きした。
朝日が昇るにはまだ少し時間がありそうとのことだったので、ショウはいそいそとリファナの隣に腰掛け、自分の故郷である地球について彼女に熱心に語った。
1年の半分くらいは夏であること、鳥や動物、木々や草花などたくさんの生き物に溢れていること、自分たち人類は街を作って集まって暮らしていること……
(1年の半分が夏なんて……羨ましいです)
「まぁ、地球の夏は暑すぎるからそれはそれで大変だよ。それに比べたらここの気温のほうが過ごしやすいかも。」
(そうなんですね……嬉しいです)
正直に言えば、水が液体で存在するとはいえここの気温は寒すぎる。言葉の半分くらいはリップサービスだった。
しかし「お世辞」という概念がないのか、ショウの言葉にリファナは本当に嬉しそうに目を細めた。
「確かに最初は少し寒いと思ったけど、ここは居心地が良くて本当に気分が良い。ずっといたくなるような環境だよ。」
目を細めて微笑をたたえたまま、リファナは黙ってショウの顔を見つめていた。
心地よい静寂が、しばらくの間2人を包んだ。
(あ……、そろそろ夜明けですよ)
水平線の先に視線を移してリファナが水平線を指差す。
彼女につられ、ショウも水平線に向けてカメラを構える。流れる雲をかき分けながら薄暗い中にぽつ、と浮かび上がる赤色とオレンジ色が入り交じった光。この静かな世界に彩りを与えてくれる、そんなこの星の太陽が、見慣れた地球のそれよりずっと幻想的に見えた。
「すごく、綺麗だな。」
ショウの言葉が聞こえているのかいないのか、とても幸せそうに微笑んだまま、少女は太陽をずっと見つめていた。
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