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なんとか食事を終え、車に戻る。
車の中では無言が続き、表情を確認したくても見ることすらできなかった。
家に着くなり風呂場に投げ込まれた。
高い服が濡れるなんて関係なく頭から冷水のシャワーが降ってくる。
いくら家の中とはいえ真冬に水は堪える。
「脱げ。」
水が染みた服は重みを増して脱ぎにくく時間がかかる。
脱ぎ終わる頃には全身が冷え切って唇が震えてきた。
こんなにも寒いのに局部は熱くて冷水の刺激に気持ちよさを拾ってしまう。
「勝手に感じて悪いやつだ。」
「ごめ…」言い終わる前に首を掴まれて湯船に頭を突っ込まれる。
溜まっていた水も息が止まるほど冷たくて、呼吸ができず、もがけばもがくほど、苦しくなっていく。
水面から顔を出せても、こちらの呼吸のタイミングを見て口を開いた瞬間にまた戻される。
全身が冷たくて息ができなくて辛くて怖くて忘れていた感情が思い出された。
この人の本職は非人道的で俺が生きられるのはそんなこの人の手のひらの上だけだと。
もうこのまま意識を手放したい。
そう思った時に抱きしめられた。
全てがどうでもよくなって、暖かくて優しくて抱きしめ返した。
「そう、それでいい。」
少し温度を取り戻した身体は思い出したかのように主張を始めた。
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