チェーン・ラブ

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隆史と会ったのは、半年前だ。駅で、彼が落としたハンカチを拾ったのがきっかけだった。彼はお礼がしたいと言い、食事をご馳走になった。 一目惚れだった。背が高くて、顔も整っていて、アイドルみたいな見た目、きっと私には手の届かない人と思っていたから、2回目の食事で告白された時は、天にも昇る思いだった。きっと、私達は出会うべくして出会った、運命の2人なんだ、そう思った。 お金を貸してほしいと言い始めたのは、付き合って2ヶ月が過ぎた頃だった。ある事業に手を出して、生活費に困っている、と。私は喜んでお金を貸した。隆史のためなら、何だってできる。しかし、それは、1回や2回で終わらなかった。 隆史のことが誰よりも好きだ。彼のことを疑ってなどいない。そう、疑ってはいけない。いつもそう自分に言い聞かせていた。
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