摩訶ねえは御意見番

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「あー・・イライラする。」 桃香は手入れの行き届いた庭を突き抜け 離れにポツンと建っている小さなレンガ作りの家の呼び鈴を鳴らした。 「摩訶ねえ!  摩訶ねえ! いるんでしょ!?」 摩訶ねえの摩訶は摩訶不思議の摩訶。 歳の離れた桃香の姉は父の病院の薬剤師を担当している。 跡取りは、おおにいとちいにいの2大巨塔・・ 文字通り2人は185センチの長身でもある・・が 嘘みたいに優秀で評判のイケメン・・で固められているので安泰だ。 ドラマと違って、2人は同じ志のもと 権力争いとは無縁にお互いのポジションを全うしている。 本当に賢い金持ちとは この2人のように欲に溺れる必要もなく 真っ直ぐに、なぜ何どうしてに向かって 解決を繰り返していくものなのだろう。 摩訶ねえも嘘みたいに頭が良かった。 が、摩訶ねえは薬の調合の不思議にハマって ずっとこの道で爆進している。 趣味も薬草の研究で、一家の離れは 摩訶ねえの薬草園に囲まれている。 家もレンガに限ると煉瓦造りにこだわって ノスタルジックな外装と緑豊かな庭園のせいで 都会的でおしゃれな母屋からかけ離れてここだけ亜空間である。 内装はというと 最新鋭の機材と古来の道具が摩訶不思議に融和して 気になるものだらけだ。 桃香には上と下にもう1人ずつ姉妹がいた。 兄2人姉2人妹1人の総勢6人兄妹だ。 6人兄妹の父はサンタクロースのような人格者で 博愛主義だが合理的な人だった。 分け隔てなく愛情を注ぐので 患者さんにも慕われ、家族の行事も大事にしていた。 仕事は早く、決断力があり、人員育成に厳しく 的確な作業の采配には無駄がなく 仕事に人生が喰われる事はなかった。 ちなみに兄妹で一番運動神経がいい桃香の一つ上の姉は 持病や後遺症はリハビリの質で生活しやすくなると 生活に必要な動きのリハビリにこだわって理学療法士を担当している。 ついでに紹介すると桃香の一つ下の妹は末っ子になるのだが 幼い頃からおしゃれが好きで兄妹の誰よりも合理主義だった。 おしゃれが高じて制服やアクセサリー類の制作は彼女が担当している。 その配色やデザインは 気分を上げてくれるハッピーで清潔な印象のものばかりだった。 特に制服は各部署に合わせた機能性が転職組をまず最初に唸らせていた。 細やかに可動域をサポートする縫製で サイズに合わせたバリエーションは豊富でありながら セクションをわかりやすく区分している。 制服が着るものを選ばず、着るものが制服を選ぶ事ができる 人気の制服だった。
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