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43歳の誕生日に人生初めての彼女ができた。
彼女の名前は嘉納 優花。その名前の通り、心優しく花が綻ぶように笑うかわいい女だ。
アプローチしてきたのは優花の方からで、最初俺は動揺した。
だって俺は43歳で、相手は23歳。その年齢差はちょうど20歳。若い優花から見たら俺なんて“おっさん”だろう。
それに恥ずかしながら俺は定職についていないフリーターで、金がない。金の無さは見た目にも反映されていると思う。
こんな“冴えないおっさん”に何故? と思い、所謂“デート商法”とか“美人局”を疑ってはみたが……金のない俺にそういうのを仕掛けるのは意味がないような気がする。
となれば、彼女の想いは本当ということになる。俺は戸惑いながらも優花の想いを受け入れて正式に恋人関係をスタートさせた。
だがやはり“お付き合い”といのは愛があってもなかなかに難しいものだった。
まず俺に金がないのでデートが出来ないし、壁の薄い安アパートに優花を招くのも気が引ける。
それにフリーターで比較的時間に融通がきく俺とは違い、定職に就いている優花は忙しいらしく連絡もまともに取れない。
愛はある、だけど色んな事情が重なり俺達は擦れ違いを続けている。俺はそんな状況がとても歯痒かった。
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