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数日後、俺は優花の働く会社の近くにいた。
建物の陰に身を潜めて優花が出てくるのを待っていたら、腕時計を確認しながら小走りで彼女が出てきた。
保育園のお迎えの時間を気にしているのだろうか? 俺だったら優花を専業主婦にしてやって子供を保育園に預けるだなんて可哀想なこと絶対にさせないのに。
俺は早足で駆けて行く優花の後ろを追いかけていく。
公園の中に入っていく優花。保育園までのショートカットなのだろうが、この公園は過去不審者が出たので誰もよりつかない寂しい場所だ。
誰もいない静かな公園、俺は話をするなら今だと思い彼女を呼び止める。
おい、優花! 強い口調で名を呼ぶと、彼女は足を止めてこちらを振り返る。元々大きな目を更に大きくして驚いている様だ。保育園に向かう所を目撃されて焦っているのかもしれない。
俺は優花に言いたいことが沢山あった。ありすぎて何から話せばいいのか分からない。
悲しみと怒りに身を震わせていると、優花はきょとんとした顔で小首を傾げる。そして苦笑しながら言ったんだ。
「──、────?」
その言葉を聞いた途端、俺は沸き上がる憎しみに我を忘れ、ジャケットに隠していた包丁を振りかざして優花に襲いかかった。
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