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僕が帰宅すると、アパートからいい匂いが何時もしていた。
その度に僕は、今日の夕飯は何だろう?とワクワクさせながら、唯ちゃんと翔吾くんが待つ部屋へと足を急がせた。
部屋に入るとテーブルにご馳走が並べられ、唯ちゃんは翔吾くんに、
「翔吾!!宿題をしなさい!!」
「や〜だ!!」
と、賑やかにしていた。
その光景を見ると、嗚呼……僕は幸せ者だな……と痛感させられた。
「ただいま」
僕が、そう言うと、唯ちゃんは僕に走り寄って来て僕をギュッと抱きしめると熱いキスをしてきた。
「あー!!母ちゃんだけズルい!!俺も俺も!!」
と言って、翔吾くんもキスをせがんだ。
僕と唯ちゃんは、フフフと笑い、翔吾くんの背丈までしゃがむと、二人で翔吾くんの頬っぺたにキスをした。
「なぁなぁ……聡兄ちゃん!!何時になったら母ちゃんと結婚するんだよ?……早く俺の父ちゃんになれよな!!」
と何時も、翔吾くんはそう言ってきた。
「そうだなぁ……僕の給料が沢山になって、唯ちゃんが働かなくてもよくなってからかな?」
「それ、何時になるんだよ?!」
「そ、それは僕にも分からないよ」
「早く高給取りになれよな?」
「が、頑張るよ……」
そんな、やり取りを聞く度に、唯ちゃんはゲラゲラと笑っていた。
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