【ライバル】

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僕は必死になって杉木 唯子に負けまいと、今までになく仕事を頑張るようになった。 だけど、杉木 唯子の腕前には、とてもじゃないが敵わない。 あんなにチビで華奢な身体つきなのに、何故、杉木 唯子は仕事も早く、且つ、正確に仕事をこなせるのだろう……と僕は不思議に思った。 いつ頃からか僕は杉木 唯子に、 「聡ちゃん」 と軽々しく、そう呼ばれるようになっていた。 僕は苦々しく思いながらも黙って杉木 唯子に、そう呼ばれる事を容認した。 杉木 唯子は僕だけでなく、他の男性職員にも親しげにニックネームを付け、僕はおろか、皆んなの仕事を手伝うようになっていた。 もう、ここまでくると杉木 唯子の存在は倉庫業の皆んなにとっては、欠かせない存在になっていた。 そんな中、杉木 唯子は何かと僕に絡むようになっていた。 「聡ちゃん〜、そんなんじゃ、まだまだ仕事が終わらないよ〜」 「聡ちゃん〜、出来ないなら私が聡ちゃんの仕事、もらっちゃうよ〜」 などなど。 僕は、その度にキーって頭に血が上って、がむしゃらになって働きまくった。 でも、そうすればそうする程、杉木 唯子は楽しそうに僕に絡んでくる。 いったい何なんだ?!この女は!! 僕は憤慨しながら更に杉木 唯子へのライバル視が強くなっていった。
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