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僕と唯ちゃんは互いにスマホの電話番号を教え合い、LINEの交換をするまで仲良くなっていた。
仕事が終わり互いに家に帰ると電話をしあい、時には、翔吾くんともお喋りをしたりしていた。
「おい!!聡兄ちゃん!!俺と遊ぼうぜ?!」
と、翔吾くんに言われるようになり時々、仕事が休みの日に唯ちゃんと翔吾くんと僕で河川敷に行き、翔吾くんのキャッチボールの相手をしていた。
翔吾くんは野球が好きならしく、よく、野球選手の話を僕に話してくれた。
唯ちゃんは手作りのお弁当箱を持参して僕と翔吾くんに食べさせてくれた。
唯ちゃんは料理が得意ならしく、手作り弁当は絶品だった。
「母ちゃん、あーん!!」
「はいはい、お口に入れるわよ?」
唯ちゃんは、よく、翔吾くんの口にお箸でお弁当の具材を運んで食べさせていた。
それが羨ましくて僕も、
「唯ちゃん、僕も、あーん♡」
と言うと、唯ちゃんはクスクス笑いながら、
「聡ちゃんってば!!しょうがないわね?」
と言って僕の口にも具材を運び食べさせてくれた。
その度に僕は幸せな気持ちになり有頂天になっていた。
そうした休日を迎える内に翔吾くんは、
「ねぇねぇ、母ちゃん。聡兄ちゃんの事、好きなんでしょ?」
「聡兄ちゃんも母ちゃんの事が好きなんでしょ?」
と訊いてくるようになっていた。
僕と唯ちゃんは、その度に顔を真っ赤にして互いを見つめあっていた。
「聡兄ちゃんが俺の父ちゃんになってくれたらなぁ……」
そう言って翔吾くんは河川敷を駆け回る。
僕は、その度に唯ちゃんの手を握りしめた。
唯ちゃんは抗う事をせず僕の手をギュッと握り返していた。
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