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相変わらず僕は唯ちゃんに手取り足取りとリフトの練習に付き合ってもらっていた。
僕は、唯ちゃん程ではないけど以前よりはリフトの腕も上がり、綺麗にパレットを積めるようになっていた。
「聡ちゃん、頑張ったね!!……これで私の役目も終わりだね……」
唯ちゃんは淋し気な笑顔を僕に向けて、そう言った。
「なんだよ?唯ちゃん。役目が終わり何て言うなよ。……僕は唯ちゃんの傍にいたい。今度は僕が唯ちゃんを守るんだから!!」
すると唯ちゃんは、
「付き合ってもいないのに、そういう訳にはいかないよ……」
と言った。
僕はリフトから、ゆっくり降りると立ち竦む唯ちゃんの傍に行き、唯ちゃんのおでこに軽くキスをした。
「唯ちゃん……付き合おう?……僕、頑張るから……」
僕は今度は唯ちゃんの頬っぺたにキスをした。
「わ、私は聡ちゃんより10歳も歳上だし、子供もいるし……」
「うん、知ってるよ?……それが何だっていうの?」
僕は唯ちゃんの瞳に向け真っ直ぐに視線を向けた。
「……私じゃなくても……聡ちゃんなら、もっと若くて良い女性と付き合えるじゃない……」
「唯ちゃん、何度も言うけど、僕は唯ちゃんが好きなんだ。……生涯を通して、ずっとずっとね?」
僕は唯ちゃんの腰に手をつけて僕の身体に引き寄せた。
「でも……聡ちゃん……」
何かを言おうとしている、唯ちゃんの口を僕は自分の唇で塞いだ。
唯ちゃんは、はじめ、ビックリした顔をしていたが、やがて目を閉じ僕からのキスに甘んじて受け入れていった。
暫くキスをした後、僕は、唯ちゃんの唇から離れた。
「唯ちゃん……付き合って下さい。唯ちゃんは勿論、翔吾くんも……それから、唯ちゃんの……天国にいる旦那さんの事も大切にするから……」
僕の言葉を聞いた、唯ちゃんは涙をポロポロと零し、うん……と頷いた。
僕は、唯ちゃんの、その涙が溢れる瞼に優しくキスをした。
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