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ワタシと先輩は自然の中をはしゃいでまわった。
空も土も風も何もかもが新鮮で楽しかった。
そのうちに先輩は「なんだかダルい」と言って草の上に横になる。
「本物の草って柔らかいね」
「人工芝みたいにツンツンしてないですね」
先輩は目をつむっている。
ワタシはその隣に座り込んだ。だるくて立っていられない。
「小さい頃からの夢だったんだ。自然の中で過ごすこと。最後に体験できてよかった。付き合ってくれてありがとう」
「何言っているんですか。彼女として当然です」
「そうだね。恋人だもんね。本当に楽しかった」
そして沈黙が流れる。
なんの音もしない。耳に痛い静寂。
「最後にワタシもいいですか」
先輩の返事を待たずにワタシは触れるだけのキスをした。
先輩の唇は温かくて柔らかかった。
「天気がいいって、こういう日を言うんでしょうね。最後に楽しい時間をあり
がとう」
言ってワタシも先輩の横に寝転んだ。
空はどこまでも青かった。
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