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重大放送は知事の次のセリフから始まった。
「私たち、行政府は市民の皆さまに重大な告白をしなければなりません」
「どういうこと?」
私たちはドーム都市に住んでいる。
詳しい経緯は知らないがドーム都市の外は致命的な放射能という毒で満ちている、らしい。
昔の人々は、その毒から逃れるためにこのドーム都市を建造し移り住んだ。
ワタシたちはその移住者たちの子孫というわけだ。
ワタシたちはこの密閉されたドーム都市で生活している。
今回の重大放送はこのドーム都市の根幹機能の一つ、酸素循環機能に致命的な破損が見つかったという報告だった。
都市の生命維持を司る根幹機能は半永久的に機能が維持されるのではないの?
それが、致命的な破損?
それじゃ、私たちはどうなるの?
知事のスピーチは続いているがほとんど頭に入ってこなかった。
分かったのは、酸素循環機能が止まってしまうということ。
酸素の供給は最大に見積もっても七日間が最大だということ。
それだけがかろうじて分かった。
続いて画面にはドーム都市行政府の技術部門の責任者が出てきた。
酸素と二酸化炭素がどうのこうのと専門用語を交えて説明をしていく。
難しくて理解が難しい。
ワタシはふわふわとした気持ちでその説明を聞いている。
説明の中で「直す方法」についてはただの一度も触れられなかった。
この都市はあと一週間で死んでしまう。
ワタシたちはどうなるの?
一緒に死んでしまうの?
人間は酸素がなくては生きていけないのに。
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