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(髪を乾かしてもらうのって、こんなに気持ちよかったっけ)
龍牙に丁寧に髪を乾かされながら、雪兎はぼんやりと思う。
浴室で龍牙に準備されている間、額を龍牙の体につけていたからか、匂いを近くに感じ、それからふわふわとした感覚が続いている。
初めの強引な様子からは考えられないような、優しい手つきで準備されたのも原因の一つかもしれない。
髪を乾かし終えると、廊下に出て、向かい側にある扉を通る。
そこはリビングダイニングと、カウンターキッチンがあり、大きな窓からベランダへも出ていくことができるようだ。
だが窓から景色を楽しむことなく、奥にある扉へと連れていかれる。
扉を開くとカーテンが閉められているのか薄暗くなっているが、大きなベッドが置いてあることはわかり、寝室であると理解する。
普段龍牙が寝起きしているからか、そこにも龍牙の匂いが充満しているような気がして、緊張するよりもぼんやりと、落ち着くような気さえしてきてしまう。
スタンドテーブルにあるナイトライトだけをつけ、ベッドに腰掛けさせられると、ゆっくりと顔が近づいてくる。
(あ、キス、される)
と思ったのも束の間、唇が触れる。
チュッチュッと何度か唇を触れ合わせる。
「口、開けて、舌出して」
(そういえばさっきも口開けてって言われたっけ)
龍牙から言われるとぼんやりとそんなことを思い出しながら、口を開け、恐る恐る舌を出してみる。
ジュっ……ちゅるっ…くちゅっ
「んぅ……んむ」
舌を吸われ、口腔内をまさぐられる。
キスも体験したことのない雪兎は、どのタイミングで息をすればいいのかわからず、段々と苦しくなってくる。たまらず龍牙の体を叩くとようやく口を離される。
「どうした?」
「はぁ…はぁ……息、もたない」
至近距離でのぞき込まれながら尋ねられたので、息を切らせながら伝える。
「ふっ……息は鼻でするんだ」
柔らかな笑みを浮かべながら再度口を塞がれる。
先ほどと同じように口腔内をまさぐられながら、鼻で息をすると言われた通りに実践しようとするが、徐々に激しくなっていくキスに、やっぱりタイミングがつかめない。
体を後ろに引いて逃げようとするが、腰に手を回され大きく逃げることもできず、口腔内をむさぼられる。
「んっんん……んぁ…ふぅん…」
時折呼吸を促すように口をわずかに離してくれるようにはなったが、息継ぎと同時に今まで自分でも聞いたことのない声が漏れ出ることに羞恥を感じる。
しかしそれを気にする暇は与えないとでもいうように、キスは深く、激しくなっていく。
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