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「二次性なんだろーなぁ」
ざわつく教室で、岡本雅也が言った。
「俺は別になんでもいいけど。βでもΩでもαでも友達だろ?それに最近じゃ抑制剤も良く効くようになってるみたいだし、変わんねーよ」
俺が笑顔で返答すると
「それもそうなんだけどさー。やっぱり緊張しね?」
と苦笑する。
一般的な感覚で言えばそうなのかもしれない。
「お前らは心配しなくてもβだろ。そんな平均身長、平凡顔で何言ってんだよ。αなんて俺様くらいだろ」
クラスメイトはそう言って笑う。特に親しい友人でもないのに話題に入ってくるなんて、やっぱりみんな二次性が気になるんだろう。
そういう俺も気にならないわけではないが、何となく検討はつくので緊張のしようもない。
そんな会話がなされた数週間後、バース判定の結果が渡された。
結果は…
「お前そんな平凡顔のくせしてΩかよ!予想通り俺様がαだったからって、ヒートになっても俺に相手を頼むなよ。お前も顔が可愛かったら考えてやったんだがな~」
ニヤニヤしながらクラスメイトが話しかけてくる。
「おい、あんな奴相手にすんなよ。無視が一番だぜ」
岡本が気にかけてくれるが、そこまで気になるような内容でもない。平凡顔なのも事実だ。
「俺もお前なんかには頼まねーよ。てゆーか誰かに頼む前提で話すなよな~」
俺が笑顔で返答するとフンっと鼻を鳴らして何処かに去っていくクラスメイト。
「岡本、ありがとな。気にしてねーよ」
「ならいいけどよ…。ちぇっ平凡なβ同盟だと思ってたのによー。ま、友達なのは変わんねーからな。今後もなんか言われても無視しろよ!」
「はいはい。岡本は優しいな~」
からかうように笑って言うと岡本は照れたのか顔を赤らめる。
「おっ前、人が心配してやってんのにからかいやがって!バツとしてジュースでもおごれよ!」
(あぁ、こいつは本当に変わらずに接してくれるんだな)
肩を組まれながら言われたセリフに安心する。
「あの自販機の練乳イチゴミルク(加糖)な、りょーかいりょーかい」
「バッカお前、あれは殺人的に甘いやつじゃねーか!もっとマシなのにしてくれよ…」
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