【2】キセツ、シズカに委ねる

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【2】キセツ、シズカに委ねる

シズカの自己防衛本能は、夢でなかった場合を想定して、 『これは現実で、彼らは本当に神様』 なのだと断定した。 そう思うしかないほどに、この少年達は神秘的な雰囲気なのだ。 「それで、神様たち。私に何の用でしょうか?」 寝起きで、ベッドの上で、パジャマ姿で問いかける自分が悲しい。 これが現実で真実という前提ならば、話を聞かなくては進まない。 すると先手を切って、ナツが言い放つ。 「オレたち、こう見えて仲が悪いんだ!」 無邪気な笑顔で、何を突然カミングアウトするのか。 まぁ、見た目も性格もバラバラ。四季それぞれの個性が強い4人は性に合わないのだろう。 すると次に、温厚そうなハルが口を開いた。 「それで話し合いの結果、人間界の季節を1つだけに決めようと思って」 全然穏便じゃない発言!?穏やかな顔をして不穏すぎる発言をするハル様。 すると今度は、クールな紳士のアキが、眼鏡をクイっと指で上げた。 「みんな一番になりたいんですよ。特にこの国では春夏秋冬、春一番という言葉がありますし」 季節は巡るものだし、それは偉い順ではないと思う。 シズカはここで、突っ込まずにはいられなくなった。 「いやいや、仲良くして下さいよ!?1つの季節の神様だけ年中働くって過労になっちゃいますよ!」 事情は知らないが、とりあえず喧嘩を宥めるように言ってみた。 だが、これは神々の決断。人間の意見など介入できるものではない。 すると、気弱そうなフユが、小さく囁いた。 「それでね、シズカさんに、一番の季節を決めてもらいたいの」 「え?な、なんで私なんですか!?」 そんな、人類代表みたいな重大な役割を委ねられても困る。 「困ります!私は一人暮らしの普通の女子高生、一般人です!」 「それだ、シズカ。一人暮らしの普通の女子高生、見付けるのに苦労したぜ!」 え!?と、ナツの方を見る。 言われてみれば、高校生で一人暮らしの女子って時点で、珍しい。
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