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その4
私は泣きながら、教室を飛び出した。
靴を履いて、校舎の外に出た。
何も考えずに、自分の家に向かっていた。
お母さんが働いている喫茶ポポロに。
店の入り口を勢い良く開けた。
お客さんは数人いて、全力疾走してきた中学生にびっくりしている。
「こんな時間にどうしたの?」
パートで働いている顔見知りのおばちゃんが声をかけてきた。
お母さんは店内にはおらず、厨房にいるらしかった。
「忘れ物したから、取りに…」
どうしよう。こう言ったらすぐ学校に戻らなきゃいけなくなる。
おばちゃんは私の異変に気付いたのかこう言った。
「お母さんには戻ってきたこと言わないから。自分の部屋に行って、今日は休みなさい。ほら、これ。」
おばちゃんはドーナツをくれた。
「ありがとう。」
私は、階段を上って3階の自分の部屋に向かった。
自分の部屋がやっぱり一番落ち着く。
時計の秒針の音だけが鳴り響いて、人の声がしないから。
ベットに寝転がると、天井の木目と目が合った。
しばらく睨み合って、途中で目を逸らした。
もう何も考えたくなかった。
そのまま私は眠りについた。
ドアが開く音がして、私は目が覚めた。
そして、急いで起き上がった。
着替えずにそのまま寝たので、制服にシワがついてしまった。
「学校から電話があったよ。無断で帰ったんだって?」
お母さんはベットに腰を掛けた。
「何かあったの?」
お母さんの声に安心して、私は泣いてしまった。
「まいかちゃんが私の給食にチョークを入れたの。」
「まいかちゃんが?」
お母さんはすぐ学校に電話をかけた。
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