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その5
今日は莉子が風邪で休んだ。
授業中先生の目を盗んで、スマホで莉子とやりとりをした。
____やばい。マジで熱が下がんない。
莉子からメッセージが届いた。
____熱何度?
____39.8
うわ高いな。もうすぐ40℃行きそうじゃん。
学校帰りにゼリーとかスポーツドリンクとか熱冷まシートとか買って届けよう。
_____とりあえず一旦寝てやすみな
私はメッセージを送ってスマホの電源を切った。
莉子がいないと寂しいな…
昼休み。
一緒に食べる相手がおらず、食欲が湧かないので、お弁当には手を付けなかった。
いつものように塔屋によじ登って、遮光板で太陽の観測を始めた。
すると、扉が開く音が聞こえてきた。
私はびっくりして起き上がった。
塔屋の上から、扉の方を覗き込む。
見慣れた切れ目の男子と目が合った。
「あれ、三崎くんじゃん。」
そこには、お弁当を持った三崎くんがいた。
こちらに気づいて、塔屋によじ登ってきた。
「三崎くんもぼっちか?」
「友達が風邪引いて、今日学校休んだんですよ。教室で1人寂しく弁当食うのも恥ずかしいから屋上来たんですよ。」
三崎くんは言った。
「柊先輩こそ、松村先輩と一緒じゃないんですか?」
「莉子も今日風邪で休み。だから、1人で楽しく太陽の観察してた。」
私は遮光板を三崎くんに見せびらかした。
「懐かしい。俺等が小学生くらいのとき、皆既日食ありましたよね。そんとき使ったなー」
三崎くんは遮光板で太陽を眺めた。
「先輩、お弁当食べないんですか。」
「一緒に食べる相手がいないから、食欲が湧かない。」
私はそっぽを向いて言った。
「じゃあ、俺でよければ一緒に食べましょう。」
三崎くんは弁当箱を開けた。
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