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第一話 その1
午前12時53分。
昼休みに屋上から見える空は今日もきれいだった。
誰もいないし、塔屋の上で寝転べば、風通しが良くて気分がいい。
私は遮光板を使って、太陽を眺めていると、
「ちょっと人の話聞いてる?」
松村 莉子が私の顔をを覗き込んだ。
「ごめん。全然聞いてなかった。」
私がそういうと、莉子は呆れた顔をした。
「何の話?」
私は起き上がった。
「2年生が何人も辞めちゃったから、うちの部活が廃部になりそうっていう話。」
「あー家庭料理部だっけ?」
活動日数月水金の週3回。
兼部もできるし、女子に人気の部活のはず。
「今部員何人いる?」
「3年生はいなくて、2年はあたしとさーちゃんだけ。1年生は女子6人と男子1人。」
「男子?珍しいね。」
女だらけの部活に男子が1人で入るのはなかなかの勇気がいると思う。
「そこでお願いなんだけど、桃花にうちの部活に入って欲しいんだ。」
「私が?」
現時点で、2年生2名 1年生7名。計9名。
部員が10名以上揃わなければ部として認められず、活動ができない。
つまり、1人足りないということだ。
私はどこの部活にも入っていないし、習い事もやっていないから、時間には余裕がある。
2年生になったことを機に、新しいことを始めたいとは思っていた。
けど、よりにもよって料理部か…
気が進まない。
けど、莉子にあのことは言いたくない。
「わかった。いいよ。」
友達のお願いは断れなかった。
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