回想1 その1

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回想1 その1

私は3階にある自分の部屋に行った。 時計の秒針の音だけが響いている。 ここは外部の音が聞こえない。 私はベットに寝転んだ。 天井の木目と目が合う。 そして、私は目を瞑った。 そのまま私は眠ってしまった。 中学の頃の話。 ある時、シャーペンと消しゴムが無くなっていることに気が付いた。 筆箱の中身がいつもより少ない。 マーカーペン、定規はある。 机の周りには落ちていない。 教科書にも挟まっていない。 カバンにもない。 私は色々の場所を見て回った。 教室以外も。 朝はあった。 落としてもいないはず。 探した場所では見つからなかった。 しばらくして、無くしたものはいつの間にか筆箱に戻ってきていた。 最初の、小さな異変。 無くなるものは次第に変わっていった。 頻度も増えた。 文房具から教科書。 教科書から上履き。 上履きから体育着。 ちゃんと元に戻ってくる時もあれば、人が寄り付かないところに置いてある時もあるし、ゴミ箱に捨ててあったりすることもあった。 体育が終わった後、畳んでおいてあったはずの制服が無くなっていた時もあった。 その時は残りの授業の時間を体育着で過ごした。 先生になぜお前だけジャージなんだと聞かれた。 花壇に水やりをしている時に、制服が濡れてしまったからだと私は答えた。 そうかと先生はすぐ納得してしまった。 気付いてほしかった。 私がついた嘘に。 私も言えば良かったんだ はっきりと。 「このクラスではいじめが起きています。」と。 私には仲のいい友達がいる。 まいかちゃんと ゆかりちゃんと ことちゃん。 凄く優しい子達だった。 物が無くなった時も一緒に探してくれた。 他のクラスメイトも私を無視したりしない。 殴ったりとか、蹴ったりとかそういった直接的な攻撃は受けていない。 物が無くなること以外は普通だ。 水面下で行われている嫌がらせが早く終わることを私はただひたすらに願っていた。
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