第一章 突然の政略結婚

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「はい?あのう、仰ってる事がわかりかねますが」 戸倉慶は話を続けた。 「我が社の下請け業務をお願いしたいと思いまして、そのために借金を自分が払います」 「どうしてそのようなことを、うちは御社の下請けを出来る程、技術が高いわけでもありません」 「無理はなさらず、今まで通りの仕事をして頂ければ構いません」 「しかし」 「その代わり、お嬢さんを自分にください」 「はい?」 「お嬢さんと結婚させてください」 父も母も戸倉慶の申し出にびっくりして言葉が出なかった。 「おい、二階にいるだろ、早く呼んでこい」 父は母に指図した。 「はい、今呼んで来ます」 母は慌てて二階に上がって来た。 二階にいたのは私と妹。 妹は二十歳、とても可愛くて、誰からも好かれるタイプ。 それに引き換え私は冴えないアラフォー、暗くて、全くいいとこ無し。
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