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 白い壁に、白い天井。壁沿いには明るいブラウンの棚が置かれ、本、テレビ、時計、ペン立てなどの雑貨が収まっていた。足の裏にはふわふわした温かいものが触れている。床一面に淡いピンク色の絨毯が敷かれていた。  絨毯一面に、四角い光が投影される。その光は大きくて、壁にまで少しかかっていた。私はそこに顔を覗かせ、窓のほうを見上げた。 「うわ、まぶし」  すぐに目を逸らした。ここから外を眺めることはできそうにない。しかし光のないところとは段違いに暖かかった。  大きな窓を右側にして絨毯に座り込む。太陽が私の頬を、体を温める。ふかふかの絨毯が脛や膝をくすぐった。ハンカチを広げ、そこに小さな人形たちを寝かせる。布に綿を詰めた柔らかいもので、黒いビーズで目が作られていた。そんな、掌に収まるほどの小さい人形を、三体並べた。男の人、女の人、子供で三人になる。 「何してるの?」  顔を上げるといつの間にか向かい側に男の人がいた。その人はあぐらをかいている。顔だけはぼやけていてよく見えない。 「かぞくごっこ」  私は答えた。 「家族ごっこ? じゃあこれはお父さんとお母さんと晴菜(はるな)かな?」 「うん」  私が答えると、相手は何度も大きく頷いた。 「よーし。じゃあ、もう一人追加しよう」 「もうひとり?」 「うん」  今度は両手を後ろで組んだかと思うと、ぱっとその手を差し出した。細い傷が無数に刻まれた大きな手だ。その手には、親指ほどしかない小さな小さな人形が眠っていた。他のものよりさらに小さく、人形の赤ちゃんのようだった。  その赤ちゃんはそっとハンカチの上に置かれた。白い小さな布に巻かれていて性別はわからない。 「お母さんのお腹の中に赤ちゃんがいるんだ。男の子か女の子かは、もう少ししたらわかるって」
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