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けたたましい電子音に、私はびくりと体を震わせた。先ほどまでの景色はなく、代わりに薄暗い壁が見えていた。
時計をぱんと叩いて音を静める。カーテンの向こうから陽の光が透けて見える。
足をくすぐる絨毯も、人形の柔らかい感触も、いまだに残っている。現に体に掛けている、一枚の薄い布団とは違う。
ゆっくりと体を起こした。壁だと思ったのは天井だった。
ふーっと長い息を吐いて、ベッドから這い出した。濡れた頬をそっと拭きながら。
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