一日の始まり

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一日の始まり

「おはようございます!」 凛とした声が響く。3Bで過ごす楽しい一日は、いつもここから始まる。  春、夏、秋、冬と過ごしてきて、もうすぐ2度目の春が来る。その日々の中で、「友だち」と言うにはおこがましいけれど、私はみんなと少しずつ仲良くなれたんだと思う。雨雲が空を覆う日も、みんなと一緒だと明るく感じられるくらいだから。 「石山さん。」  いけない。感傷的になっている場合じゃない。お題の答えを考えないと。悠然とした人には憧れるけど、私は単に鈍くてとろいだけだ。 「えっと…。」  クラスから音が消える。声の小さい私の答えを、みんなが待ってくれている。ああ、本当にごめんなさい!   何とか声と答えを絞り出すと、私は妄想に戻る。  まどという額縁を通して垣間見える、壮大な蒼い写真。先生の背後を彩るのは、朝日を宿した碧いカンバス。ピントを手前に合わせれば、目に映るのは色とりどりの花束のように個性豊かな仲間たちだ。 「起立!」  鈴の鳴るような声が、色鮮やかな景色によく似合っている。  ん? これでいいのか? 何か忘れてないか?    答えは、びっくりするほど簡単だった。  私は慌てて立ち上がる。 「ありがとうございました!」  
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