4人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
告白
「好きだ」
クラスメイトの松島君から告白されたのは高校の卒業式の日。松島君はクラスで学級委員をしていた。真面目で人をまとめる力があり、皆に頼りにされていた。
松島君は、今まで見たことがないくらい真剣な顔をしていた。本気で言ってくれているのだ。私は尋ねる。
「松島君は、私のどこを好きになってくれたの?」
「友達思いで優しいところかな。そして、1番、魅力だと思ったところは」
松島君は少し緊張しているようだった。
「クラスでいじめられていた宮田さんを助けたところだ。おれは人を傷つける奴が嫌いで、宮田さんへのいじめもやめさせようと思ったけど、男子のおれが、女子同士のいじめをとめるのは、難しかった。原田さんは自分がいじめられるリスクもあるのに、宮田さんと友達になった。それで、クラスの女子は宮田さんをいじめなくなった。原田さんはいじめを止めたんだ。そこをずっと尊敬していた」
その言葉に私は嬉しさを感じず、胸が痛んだ。私はそんな立派な人間ではないからだ。それを松島君に伝えなければ。今度は、私が告白する番だ。
「松島君、私の話を聴いてくれる?」
最初のコメントを投稿しよう!