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デート
それから2日後の金曜日の夜。
今日は部署内の有志で、プロジェクトのお疲れ様会が行われた。
幹事は、てっきり言い出しっぺの晴美さんがやるものかと思っていたけれど、大橋くんがやっていた。きっと、先輩命令には従わざるを得なかったんだろうなぁ…。
お疲れ様会は何事もなく無事に終わり、私は二次会には参加せずに帰ることにした。すると、大橋くんも帰ると言い出した。
「え、幹事が帰るの?」
私がそう突っ込むと、
「二次会まではさすがにいいでしょ…晴美さんいるし」
と、疲れたように言った。
私達は途中まで路線が同じなので、ひとまず一緒に帰ることになった。
「あのさ…」
大橋くんが声を掛けてきた。
「何?」
「…いや、何でもない」
「え?何?めっちゃ気になるんだけど」
「いや、本当何でもない」
大橋くんは頑なだった。私は小さく溜め息を吐いた。
「まぁ、いいけど。大橋くんも溜め込むタイプなんだから、何かあったら美織お姉さんに言いなさいな」
「…溜め込んだらな」
「いや、だから溜め込まないの!」
何だか漫才をやっている気分だ。
「…最近少し雰囲気変わったよな」
ポソっと大橋くんが言った。
「…私?」
「それ以外に誰がいるって言うんだよ」
「えー…晴美さん、とか?」
「あの人はいつもあの通りだろ」
「いや…それはそれでちょっと失礼な気がするんだけど」
そんな受け答えをしているうちに、大橋くんは黙ってしまった。
「どうしたの?本当、何かあった?」
何かに悩んでいるのかと思い、大橋くんにそう切り出すと、
「違うよ」
と、返ってきた。私の頭の中ははてなでいっぱいになった。
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