デート

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「その…最近さ、雰囲気が女らしくなったというか…」 「…元々女ですけれども」 「だからそうじゃなくて!」 その声は若干怒気を孕んでいた。 「綺麗になったなって思ったんだよ!」 「は…?」 大橋くんの口から、まさかそんな言葉が飛び出て来るなんて夢にも思っておらず、私は一瞬フリーズしてしまった。 当の本人は、なぜか赤くなっていた。 「…明日は大雨かな」 やっと絞り出した言葉がそれだった。 「お前…人が恥ずかしい想いしてんのに」 大橋くんは、ジロリと私を睨んだ。 「だって、大橋くんからそんなこと言われると思ってなかったもん…それに…」 君には好きな人がいるでしょ、と言い掛けて止めた。大橋くんも言葉の続きは分かっているようだった。 「…まぁそりゃそうだわな」 その後、何となく気まずい空気になってしまい、私が電車を降りるまで、会話はなかった。 大橋くんと別れ、一人になると、私は祐くんにメッセージを送った。 あれから、今まで通りに連絡を取り合っている。今日は、飲み会があるから連絡が遅くなる、とは言ってあった。 『お疲れさま。今、帰っているところだよ。祐くんはお仕事中だよね。頑張ってね』 時間は21時過ぎ。今日の仕事が何時からかは知らないけれど、恐らくもう仕事中だろうと思い、そう送った。 すると、すぐに返信が来た。 『仕事と飲み会お疲れ様。気をつけて帰ってね。俺はもう少ししたら家を出るよ』 どうやら、今日はまだ仕事の時間ではなかったらしい。 『ありがとう。お仕事これからだったんだね。気をつけていってらっしゃい』
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