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何だろう、いつもの他愛のないメッセージだけれど、今日は特にホッとする。
『ありがとう。そう言えば、美織、来週どこ行きたい?一応、映画とか水族館とか考えたんだけど…』
返ってきたメッセージを見て、思わず目を見開いた。
私も考えていなかったわけじゃなかったけれど、考えつくのは所謂デートの定番ばかりで、付き合っていない私達が行くのはどこがいいんだろう、と思い浮かばなかった。経験の浅さが浮き彫りになった。
そんな折の祐くんからの提案に、そういうのでも良かったのか!と思うのと同時に、「水族館」の文字があって嬉しかった。私は水族館が好きで、祐くんにもその話をしていたからだ。
覚えていてくれたのかな…。
『あの…水族館でもいい?行きたい所があって…』
そう送ると、すぐさま祐くんから返信が来た。
『もちろん!どこの水族館?そこにしよう!』
こうして話はトントン拍子に進み、来週の土曜日は午後から一緒に池袋の水族館に行くことになった。
***
約束の土曜日。
決まってからの1週間は、思いの外一瞬だった。
仕事も多少忙しなかったけれど、空いている時間に水族館のリサーチをしたり、着ていく服を悩んだりしていたからだ。
「うーん、どうしよう」
手持ちの服は、大体オフィスカジュアルのものばかりなので、こういうときにはあまり向いていない。
一応、2日前、会社帰りに洋服を買いに行き、花柄のワンピースと手持ちの服にも合わせられそうなフレアスカートを購入した。
「あ、やばい!もうこんな時間だ!!」
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